―― ではどう磨けば良いのか ――

◇ 3・3・3を変えて
 3・3・3とは3度の食後1日3回3分間歯を磨きましょうの略称です。虫歯予防を中心とした歯磨き法の提唱です。虫歯は食物の残りかすが分解され酸となり、歯表面のミネラルを解かし穴を作るので、食後すぐ歯磨きしましょうという意味です。ところが歯の喪失を見ると、45歳を境に虫歯が原因で歯を失うより、歯周病で失う方が多くなります。中高年以降では歯の喪失の原因はもっぱら歯周病が原因となります。歯周病の原因は歯肉にある歯周ポケットの中の細菌が出す物質が原因で起こります。ですから歯周病予防の磨き方はおのずと虫歯とは磨き方も、場所とか時間とか異なって来ます。

 歯ブラシをどこに当てるの
 歯肉です。歯ブラシの毛先を歯の植わっている歯の根元周辺の歯肉に当てます。歯を磨くというより、歯頚部の歯肉を歯ブラシの毛先でマッサージするイメージです。

★ 歯ブラシは小さい動きで
 歯頚部の歯肉は欠して平坦でなく曲面です。歯ブラシを大きく動かすと、歯肉の出っ張った所のみが磨け、歯肉の窪んだ所は毛が届きません。例えば波打ったトタン板を磨くとき、雑巾を持って腕いっぱいに動かすと、トタンの凸部のみがきれいになり、凹んだ所は飛び越されてしまうのと同じです。歯ブラシは小さいストロークで動かし、歯肉の窪んだ所にも歯ブラシの毛を届かせます。

★ 特に一番奥歯の内側に時間をかけて
 それはだれもが不得意とする所だからです。大きい歯ブラシでは舌に当たったり、ゲーと嘔吐しそうになったり、歯ブラシが届きづらいからです。ところが一番奥の歯は歯周病で抜けて、一番早く入れ歯になり易い所だから、どうにか予防したいのです。


◇ 1日1回寝る前に時間をかけて
 歯周病を起こす原因菌は、口の中の常在菌が36時間堆積するとその中から生じます。ですから1日1回磨けば予防できます。それも夜寝ている間唾液や食物の流れが少ないので菌が堆積し易く、寝る前に磨くのが一番効果があります。朝昼は歯磨剤を付けてさっさと短時間で磨いて良いのですが、夜は歯磨剤を付けずに時間をかけて、歯ブラシの毛先で歯肉をマッサージするのが良いでしょう。